診療実績について

24時間365日、急患にも対応

当院は1975年に開設された精神科病院です。平成23年8月から精神科救急病棟の運営を行い、夜間・休日でも必要に応じて入院の受け入れができる体制を整えています。

令和元年度 若草病院診療実績

  • 年間入院患者総数 420名
  • 年間退院患者数 421名
  • 外来患者延べ数 55,493名 (内、DC、DNC、OT利用者数 31,972名)
  • 時間外受診件数 293件
  • 訪問看護件数 28,733件
  • 往診・訪問診療件数 1,726件

在宅医療への取り組み

長期入院が一般化しているのは、いわゆる先進国は日本だけで、諸外国の退院患者さんの平均入院期間は20日前後です。長期入院によって社会から切り離されることで、退院をますます難しくすることがあります。そのため当院では早期退院が可能になるよう在宅支援の充実に力を入れ、デイケアの提供や訪問看護ステーションとの連携を行っています。適切な薬物療法や心理支援の効果もあり、新規の1年以上の長期入院は全入院患者の1~2%となっており、平均在院日数は70日弱と全国平均の4分の1になっています。

効果的な薬の利用で症状の改善を図る

当院で治療を受けている患者さんの中で一番多い疾患は統合失調症です。外来及び入院中の患者さんの多くは、海外でも一般的に使われている第二世代統合失調症治療薬で治療を受けています。またその大半は単剤治療(1種類の統合失調症治療薬だけで治療すること)で治療を受けています。薬の種類や量が増えると精神的な混乱が減ることはありますが、生活のしづらさ等薬の副作用が増えるため、在宅医療を進めていくためには単剤治療をできる限り行う必要があると考えています。

ただし第二世代統合失調症治療薬での治療を行っても期待している効果が得られない統合失調症の患者さんもおられます。そのようなケースを「治療抵抗性統合失調症」と呼びますが、当院では、宮崎大学病院精神科と血液内科等との連携の下、「治療抵抗性統合失調症」の治療薬であるクロザピンという薬を使用できるよう必要な手続きを行い、2009年12月から使用しています。これまでに300人以上の方々に使用しており、長年入院を余儀なくされていた患者さんにも十分な効果が認められ、退院が可能となった方もおられます。ただし、クロザピンは100人に1人程度の割合で、無顆粒球症という重篤な副作用を起こすことがあり、副作用の早期発見のために定期的な検査を行う必要があります。使用前に、本当に「治療抵抗性統合失調症」であるのか過去の治療記録の確認を行い、ご家族またはご本人には十分な説明を行い、効果や副作用、治療計画に理解をいただき同意が得られた場合にのみ使用を行っています。