ご挨拶

理事長挨拶

 若草病院等を運営する医療法人如月会は、2019年4月に宮崎県から認可を受けて社会医療法人に名称を変えることとなりました。これまで当法人が宮崎県の精神科救急事業に対して積み重ねてきた実績と、経営体制の透明性が評価された結果であり、今後も宮崎県の精神科医療における当法人の役割を高めていけるよう適切かつ持続的な事業運営に心掛けていきます。

 精神科医療は、他の医療と比べて急性期、回復リハビリ、療養といった機能分化が遅れ、地域包括ケアシステムの枠からも外れていました。しかし近年は精神科救急の整備や重篤な精神症状が続く方々に対しての有効な治療提供について治療成績の蓄積も進み、精神科医療も機能分化や地域生活中心の医療が試みられています。当法人は2011年から精神科救急病棟を運営し、また治療性統合失調症に対する有効な治療手段であるクロザピン、同じく治療抵抗性統合失調症やうつ病等難治性の精神疾患に対して有効である修正型電気けいれん療法を提供する体制を整えています。

 当法人は宮崎市の繁華街近くに位置し、通院、通所には便利なため、毎日100人以上の方々が通院しています。薬物療法や精神療法の提供の他、就労支援事業所や精神科デイケア、外来作業療法室において、仕事や学校に出ていく力が回復していない通院患者さんのリハビリテーションを提供しています。また、自宅での生活において個別で相談を受けられるよう、希望する方には訪問看護ステーションと協働して訪問看護を行い、医師による往診や訪問診療も提供しています。心理的に調子を崩すと誰かに相談することも億劫になりがちですが、心の調子を取り戻すためには支援者の存在が役立つことが多くあり、薬物治療だけでなく対人交流の機会も重要な治療手段になります。我々スタッフは、当法人を利用する方々の回復の手助けができるよう日々の業務に就いています。回復への道のりは様々でしょうが、よりよい未来を一緒に目指していければと願っています。

令和元年6月
社会医療法人如月会
理事長 水野 謙太郎

若草病院 院長挨拶

 先代の理事長の頃から、当法人の理念は在宅医療でした。その証として、精神科デイケアや精神科訪問看護をいち早く導入し、自宅退院が困難な長期入院患者の退院先を、当法人の関連会社が運営するなど、30年先を見据えた先見の明があったと私は今でも深く敬服しております。

 9年前に現理事長に代替わりし、私は正直一抹の不安を抱きました。当法人の根本理念が変わってしまうのではないかという不安です。同時に私も院長に就任したのですが、私の最大かつ唯一の使命は在宅医療を軸に据えた病院経営を今後も維持していくことだと考えておりました。

 その後は当法人にとっては激動の9年でした。内科病棟の廃止、精神科救急病棟、訪問看護ステーション、就労支援事業所等の開設が現理事長によって実行されました。クロザピン使用症例数は300を超え、昨年度からは修正型電気けいれん療法も開始されました。

 現理事長と前理事長は親子とはいえ、まったく異なるパーソナリティですが、その決断力と実行の速さについては、まさに瓜二つです。そして在宅医療の提供が当法人の理念の根幹という点では現理事長にもブレは全く感じられません。

 今後も創立以来の法人の理念を曲げることなく、精神科在宅医療の推進のために私も尽力してまいります。

令和元年6月
社会医療法人如月会 若草病院
院長 白土 俊明